アメリカドライブ旅の前に知っておこう センターラインと追い越し

片側一車線のハイウェイをカーブに向かって走る 車の運転

アメリカのセンターラインは黄色

アメリカをロードトリップしていて強く感じることのひとつは道路が広いこと。

大都市部のフリーウェイは時間帯によっては大渋滞が発生するし、市街地のダウンタウンエリアは信号も多く移動時間がかかりがちです。

それでもさほどストレスを感じないのは道路幅(車線幅)が広いためだと思います。

日本では当たり前の右折待ち渋滞もないし(アメリカの場合は右側通行なので左折ですが)、歩行者が狭い歩道からはみ出したりふらふらする自転車にヒヤッとすることも滅多にありません。

路上駐車車両をかわすために対向車線を走らなければならないなんて場面はないに等しい。

日本の25倍もの面積のアメリカと道路幅について比較するのはそもそも間違いなのかもしれませんが、なんとも羨ましく感じます。

さて今回はそんな幅の広いアメリカ道路のセンターラインについてです。

決して難しいことはありませんが日本のそれとはちょっと違う点があるんです。

まず言うまでもありませんが、アメリカでは車は右側通行 KEEP RIGHT です。

対向車が接近する追い越し禁止区間のハイウェイを走行中
アメリカの道路のセンターラインは黄色

そして対向車線とを区分けするいわゆるセンターラインの色はつねに黄色であること。

その黄色いセンターラインには以下のルールがあるので覚えておくとアメリカをロードトリップする際に安心です。

破線の場合

片側一車線のハイウェイの最もオーソドックスな破線状のセンターラインです。

双方向どちらの車線も追い越しOKを示しています。

追い越していく赤いピックアップトラック
双方向とも追い越しOK

上の写真ですが破線状のセンターラインなのでここは追い越し可能。

後方から追従してきたピックアップトラックが対向車線に出て当方を追い越し、元の車線に戻ろうとしています。

直線で見通しもよく対向車もはるか遠く、ずっと破線状のセンターライン区間なので安全に追い越しできますね。

もちろん追い越されるこちら側も安心です。

破線と実線の二重線の場合

カーブ区間または道路に起伏があって先を見通せない区間などに設置されたセンターラインです。

自分の側が破線で対向車線の側が実線の場合

自分の側が破線ならこちらは追い越しOK、対向車線側は実線なので追い越し不可です。

ハイウェイを大型トラックに追従する
こちら側は追い越しOKですが、対向車も時速100km 超で迫ってきます

上の写真ですが前方を大型トラックが2台走行し、上り坂に差しかかろうとしています。

この先の上り勾配で速度の低下が予想されますが、対向車もあり追い越すには全然距離が足りません。

写真はニューメキシコ州内のUSハイウェイですが、速度は70MPH=113km/hくらいで皆さん走行しているので、対向車との速度差は時速220km以上ということになります。

無理な追い越しは厳禁です。

ちなみに写真の奥(上り坂の途中)から「追い越し車線(“ PASSING LANE ” といいます)」が見えています。

“ PASSING LANE ”(追い越し車線)の手前には存在を知らせる標識が必ずあるので、無理な追い越しはやめましょう

1マイル先に追い越し車線ありの標識
『1マイル先に PASSING LANE(追い越し車線)あり』

次の写真は前方に速度の遅いキャンピングカーが走行しており後続車が連なっています。

かなりの対向車があるのですが、地元の車は隙あらばどんどん追い越していきます。

対向車が行き交う片側1車線のハイウェイを走行中
前方に低速のキャンピングカーが

後ろから見ていてちょっとハラハラドキドキです。

先頭のキャンピングカーが遅いとは言っても 55MPH=90km/h くらいのスピードで走っています。

万一判断ミスから追い越し中に対向車と正面衝突事故を起こしたら、それこそ木っ端微塵の衝撃映像モノになってしまいますからねぇ。

対向車の隙間をみて追い越しを図る先行車
対向車の切れ目で追い越し(無理するなよ~)

ちなみに私は昼間の見通しのいい長い直線で、なおかつ先の行程が長く追い越し車線が存在しないハイウェイの場合くらいしか追い越しをしませんね。

自分の側が実線で対向車線の側が破線の場合

逆に自分の側が実線で対向車線側が破線なら、こちら側は追い越し禁止です。

片側1車線の追い越し禁止区間を走行中
こちら側は追い越し禁止!

上の写真は一見すると見通しのよいハイウェイです。

ただ起伏があるためタイミングによっては対向車が完全に隠れてしまい、坂の頂上で突然ぴょこんと現れて、慣れないうちはちょっとビックリなんてことがあります。

特に夜間このような場所は電灯ひとつない漆黒の闇になるので、まっすぐなハイウェイであるにもかかわらず目の前に突如飛び出す対向車のヘッドライトには結構ビビります。

アメリカの砂漠地帯など荒野の夜はホントに漆黒の闇(決して大げさではありません)。

頼りは自分の車のハイビームにしたヘッドライトに照らされたセンターラインと路肩のエッジライン(ある場合と無い場合があります)だけなので、センターラインの形状とその意味は最初から頭に入れておいたほうがいいですよ。

夜間の走行は見通しがきかないだけでなく、動物の飛び出しなど昼間にはない危険があるため、慣れないうちはできれば避けたほうが無難です。

なお、追い越し禁止区間の手前には下の写真のようにたいてい標識が設置されています。

ハイウェイの追い越し禁止区間に接近
対向車の有無は見通せません

“DO NOT PASS”(追い越し禁止)、“ NO PASSING ZONE ”(追い越し禁止区間)の意味です。

ハイウェイの見通しのきかない右カーブに接近
見通しがきかない右カーブ

実線が2本の場合

実線が2重に引かれたゾーンは双方向どちらの車線も追い越しは禁止です。

連続するカーブ区間を走行する車窓風景
カーブ区間はたいてい2重実線

下の写真の対向車線側は “ PASSING LANE ”(追い越し車線)が設けられた区間なので2車線です。

左カーブのハイウェイを走行中
アリゾナ州内の US89号線

2重の実線ゾーンはたいていカーブがきつかったり、道路幅が狭めだったり、アップダウンがあったりするケースが多いです。

見通しの悪い山間部ハイウェイを走行中の車窓風景

追い越しやはみ出し走行がダメなだけでなく、スピードの出し過ぎにも注意したいですね。

幅の狭いハイウェイを慎重に走行する車窓風景
道路幅の狭い場合はたいてい2重実線

左折専用中央車線 Center Two-Way Left Turn Lane

都市部をはじめ地方のちょっとした町には、日本に存在しないとても便利で合理的な左折専用の中央車線 Center Two-Way Left Turn Lane があります。

アメリカをロードトリップすればきっと何度も使う場面があるでしょう。

町に進入し左折専用車線ゾーンに接近
外側が実線、内側が破線

脇道に左折する場合のほか、道路わきのスーパーマーケットやガスステーション、ストアーなどに対向車線をまたいで入る際に、この左折専用レーンに進入し対向車が途切れるタイミングを待ちます。

また逆に脇道やスーパー、ガスステーションなどの施設からメインストリートに左折する際には、まずこの左折専用の中央車線に進入し、右のウィンカーを点灯させながら後続車が途切れて合流できるタイミングを待ちます。

左折専用車線を左に見ながら走行する車窓風景
あくまで左折する時だけ使う専用の車線です

この左折専用車線は、同じく左折しようとする対向車と共有する車線でもあるので、進入する時はくれぐれも正面衝突することのないようにしましょう。

トラックの追い越しは細心の注意を

アメリカのトラックはとにかくデカいです。

デカいと言っても実際のところ、車体幅は日本の大型トラックと大差ありませんが、驚くのは長さです。

横から見る車体長の長いアメリカのトラック
車体がとにかく長い

写真のようなトラックは当たり前、中には全長30メートルを超えるまるで列車のようなトラックも。

下の写真は片側2車線のインターステート・ハイウェイで、走行車線を走るトラックをこれから追い抜こうとしていますが、安全にトラックの前へ出るまでには想像以上の距離が必要です。

インターステートハイウェイでトラックを追い抜こうとする
車体の長いトラックを追い越すのは大変

アメリカへロードトリップに行かれたら、皆さんもまずは対向車の来ないインターステート・ハイウェイでトラックの長さを体感してください。

日本の高速道路で並走する大型トラックとの違いに驚くことでしょう。

インターステート・ハイウェイ以外の片側一車線の一般道(USハイウェイやステート・ハイウェイなど)で、やむを得ずトラックを追い越すときには、この長さを十分わきまえておく必要があります。

無理な追い越しをしてトラックの直前に急に入り込むのは厳禁、大事故になりかねません。

先述の通りアメリカの場合、対向車との速度差は 200km/h くらいあるということもお忘れなく。

最後に

アメリカを数千キロにわたってロードトリップすると、道路事情ひとつとっても日本では経験したことのない状況に遭遇したり、見たことのない標識に出くわして戸惑ったりすることがあります。

特に交通ルールに関しては身の安全に直結することでもあるので、郷に入っては郷に従えの精神で、アメリカの交通ルールは遵守したいですね。

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