デリケートアーチの撮影ベストタイムは?最高のシャッターチャンスを求めてハイキング

夕陽に赤く照らされるデリケートアーチ全景とアーチ背後に見える冠雪のラサール山脈 デスティネーション

撮影派なら外せない、アーチーズ国立公園のスーパースター「デリケートアーチ」

2000以上のナチュラルストーンアーチが集中するアーチーズ国立公園 Arches National Park
園内随一のハイライトで最もフォトジェニックな存在でもある「デリケートアーチ Delicate Arch」
過去5回訪れて分かったデリケートアーチのベストショットを捉えるコツを紹介します。

こんなロードトリップをする人におすすめ

★写真撮影をひとつの目的としたロードトリップをする旅行者
★より美しい写真を撮るためならスケジュールを急遽変更したい、あるいは変更可能な人
★駆け足で1ヶ所でも多くの見どころを巡りたいタイプ・・・ではない人・・・・・
★重い撮影機材を抱えてハイキングしても大丈夫な人(酷暑の夏はかなりきつい往復4.8km)
★最寄り町モアブに最低2泊以上する人

デリケートアーチの4つ魅力

➊奇跡のような美しさ
開口部の高さ14メートル、幅9.8メートルあるデリケートアーチは想像をはるかに超える美しさで、アーチーズ国立公園のスーパースター的な存在。
プロからアマチュアまで、カメラを担いだフォトグラファが世界中から集まる。
ユタ州のシンボルとして、車のライセンスプレートやステートラインのウェルカムサイン(下の写真)のモチーフになっている。

ユタ州の車のライセンスプレートと州境のウェルカムサインにイラストデザインされたデリケートアーチの姿
左 ライセンスプレート(一部マスキング加工), 右 US491号線州境のウェルカムサイン

❷アーチのあるロケーションが素晴らしい
小高い砂岩丘の上(標高1474m)にあるのでアーチ周辺に障害物がなく、アーチ越しの背後にラ・サール山脈を遠望するロケーションは文句なし。

右奥から朝日にたらされる赤茶色の砂岩丘の上に立つデリケートアーチと左側に落ちる影
デリケートアーチ南側は断崖(西側からの景色)1993年9月撮影

❸ハイキングで見に行くのでアクティビティ派にもぴったり
デリケートアーチは片道2.4kmのハイキングトレイルを登った先にあるので、写真撮影よりもハイキングなどアクティビティを楽しみたいという人にも最適。

❹片勾配のちょっときついトレイルだけれど子供連れのファミリーでも大丈夫
アーチへ向かう片道2.4kmのほとんどは上り勾配で、特に夏の猛暑下では結構厳しいが、暑さ対策など必要な用意と滑落事故に注意すれば小さな子供でもOK

赤茶色の砂岩壁に切り開かれたデリケートアーチへ通じる狭いトレイルを歩くハイカーたち
デリケートアーチ到着目前のトレイル,滑落には注意したい

アーチーズ国立公園とデリケートアーチの基本情報

アーチーズ国立公園

★時 間:24H, 365日オープン
★ビジターセンター:9:00~16:00 *ピークシーズンは時間延長(12/25閉館)
★入園料:車1台 $30.00
★最寄り町:モアブ(ユタ州)
 *園内に宿泊・食事可能施設・ガスステーションは無し
NPSオフィシャル・パークマップ(Brochure Map
 地図画面左上のドロップダウンメニューから “Brochure Map” を選択

詳しい現地最新情報は
 Arches National Park【NPS】オフィシャルサイトこちらをご確認ください。

2024/4/1~10/31の期間に入園する場合、事前予約制 Timed Entry が必要です
 詳しくはNPSウェブサイト Arches National Park Timed Entry Pilot→こちらをクリック

デリケートアーチ・ハイキングトレイル

★トレイル距離:片道2.4km = 1.5miles
★標高差:146m = 480ft
★所要時間:往路約1時間, 復路約50分
★難易度:中程度(ややきつい) *夏の猛暑下は厳しい
★トレイルヘッド:Wolfe Ranch / Delicate Arch Trailhead Parking
★許可証や事前予約は不要
★トイレ:パーキングエリアにあり

【トレイルマップ】

トレイル中盤は全く日陰のないつるつるした砂岩の一枚岩上を上るので、夏シーズンの晴天時はかなりきつく、一歩一歩ゆっくり進むのがコツです。
下の写真の右上(奥)へ向かって上ります。

快晴のもと赤茶色をした砂岩のハイキングトレイルを下ってくるハイカーと上方に豆粒のように見えるハイカーたち
写真中央付近から砂岩の一枚岩を上っていきます

【モアブからのアクセス】
モアブの中心地にあるモアブ・インフォメーションセンター Moab Information Center (25 East Center St, Moab, UT 84532)からメインストリートのUS191号線を北へ4.5マイル。
案内標識に従って信号付きT字ジャンクションを右折すれば間もなくエントランス・ステーション。
そのちょっと先右側がビジターセンター(モアブから5.2マイル, 12~13分)。
ビジターセンターからウルフランチ&デリケートアーチ・トレイルヘッドまで13.2マイル=21.2km(25~30分)。

覚悟しておいたほうがいいこと

➊とにかく人が多い
アーチーズNP全体の来園者が非常に多く、中でもデリケートアーチは公園きってのハイライトだけあって一日中混雑。
特に人が集中するゴールデンタイムの夕方にはトレイルヘッドのパーキングが満車になるほど。
デリケートアーチを訪れるなら混雑を想定した早めの行動が得策です

❷写真撮影派にはちょっと制約も
より自然なイメージでデリケートアーチを撮影したい場合、できれば人の姿をフレームに入れたくないと考えるフォトグラファも少なくないでしょう。
しかしながら人が多いだけになかなか難しいのが現実。
とりわけアーチが夕陽に照らされるゴールデンタイムにはじりじりしてしまいがちですが、そこは忍耐力と寛容さが大切です。
またベストなカメラポジションを得るためにも早めにアーチへ到着しておく必要があります。
下の写真は日没時の光景。

日没時のデリケートアーチを背景に記念撮影する家族とアーチを見に来た多くの人々
夕方を中心に終日このような状態 (2016/5/4撮影)

❸より美しい瞬間に出会えるかどうかは空模様次第
せっかくのチャンスも曇天ではがっかりだし、たとえ晴天でも西の空に薄雲がかかっているだけで、デリケートアーチは鮮やかには輝いてくれません。
可能ならば最低2日間のフレキシブルなスケジュールの余裕があるとベターです。

❹夏場日中のトレイルは猛烈な酷暑と乾燥
真夏の日中は40℃超も珍しくないので、飲み水(1人当たり2リットル以上が安全)と食料の持参、日焼け止めや帽子などの紫外線対策は万全に
特に夕方のデリケートアーチを本格的に撮影する場合はかなり早く行動することになるので、夏場の暑さ対策は重要です。
なお夏以外のシーズンはもちろん、夏場でも日暮れ後や強風時などじっとしていると肌寒く感じることがあるので、気温変化に敏感な方は上着をリュックに入れておくことをおすすめします。

❺日没後の復路は暗くなる
日没まで(あるいは日没後も)撮影をしていたら帰りのトレイルは暗くなるので、ヘッドライトかハンディの懐中電灯を持っていると安全です。

❻夏場の日没時刻は午後8時過ぎ
ユタ州は夏時間を採用していることもあり夏の最も遅い日没時刻は午後8時半を回ります
日没と同時にデリケートアーチを撤収したとしても、モアブの町にたどり着くのは午後9時半過ぎから10時過ぎ頃に
それから食事場所を探すのは結構辛いし身体にもよくありません。
簡単に取れる食事の準備をおすすめします。(宿泊先の事前確保は必須です)

デリケートアーチにはいつ到着すればいいのか?撮影ポジションは?

アーチーズNPは春から秋を中心にとにかく来園者が多い公園です(約180.7万人=2021年)。
中でもアーチーズNPの頂点であるデリケートアーチはいつも大人気。
美しい写真を撮影するためには他の観光客よりも一歩先行した行動をするのがコツ。

ベストな時間帯は夕方

午前中は逆光気味になります。(下の写真は1993/9/29 10:00過ぎ頃)

朝日を受けて陰になるデリケートアーチを横一列に座って眺める人々
午前中は逆光のため手前側は陰に 1993/9/29 10:00過ぎ撮影

もちろんいつ行っても驚きの景観は変わりませんが、デリケートアーチの美しさの極みは断然夕方
なお太陽の南中高度が低くなるシーズンになると、夕方はアーチのサイド方向から夕陽が当たるようになるため、アーチ正面は日陰になります。

まずは日没時刻を把握

デリケートアーチが夕陽に照らされて赤く目覚める・・・・・・のは日没の50分前ごろから
目覚めの瞬間をばっちり捉えるためにその日の日没時刻をまず把握します。
ビジターセンターで当日の日没時刻情報を得られますが、写真撮影に集中するならあらかじめチェックです。

【日没時刻の把握に便利なWEBサイト】

夕景や日出写真を撮影する際に何かと重宝するWEBサイトは「Sunrise Sunset Calendars – USA National Park Locations」
全米の主要な国立公園(National Parks, National Monuments など知りたい場所をドロップダウンリストから選択)ごとの時刻を1ヶ月カレンダースタイルで閲覧とプリントアウトもでき、オプションで月出/月入時刻や朝夕の薄明(Twilight)時間の目安も掴めます。

《参考》2024年のアーチーズNP日没時刻

園内北部のデビルズガーデン・トレイルヘッドの毎月1日と15日の日没時刻です。
なお2024年は3/10(日)~11/3(日)AM2:00まで夏時間(DST)。
※2024/11/3(日)の日没時刻は通常の山岳標準時間(MST)

2024日没時間
1/1 –17:061/15 –17:19
2/1 –17:382/15 –17:54
3/1 –18:113/15 –19:25
4/1 –19:424/15 –19:55
5/1 –20:105/15 –20:23
6/1 –20:376/15 –20:45
7/1 –20:477/15 –20:43
8/1 –20:308/15 –20:13
9/1 –19:499/15 –19:27
10/1 –19:0210/15 –18:41
11/1 –18:1811/15 –17:05
12/1 –16:5712/15 –16:58

デリケートアーチには日没の最低1.5時間前には到着してカメラポジションを決めたい

デリケートアーチに行き着くまでの最低必要時間は、例えばビジターセンターからトレイルヘッド・パーキング(Wolf Ranch / Delicate Arch Trailhead)まで日中なら30分、さらにハイキングに1時間

アーチが最も美しく撮影できるポピュラーな位置は、下の写真中央付近の黄線マークのあたり。
常に人が数珠つなぎなのに加えて、夕方になるとカメラの三脚がずらりと並ぶため、日没30分前に行っても既に余地はありません

デリケートアーチの写真撮影の最もポピュラーなカメラポジションを黄色線マーカー示した全景写真
黄色線マークあたりからはアーチ開口部から向こう側がよく見通せる

最低でも日没1時間半前には到着するようにしてベストポジションをキープしたいところ。
夏場のピークシーズンなら日没2時間以上前でも早すぎることはありません。
またトレイルヘッドパーキングに空きがあるうちに車を停めるためにも早めの行動が必要です。

★ハイキングスタート前にトイレを忘れずに。

アーチーズ国立公園のデリケートアーチへのトレイルヘッドパーキング夕方風景
トレイルヘッドのパーキングはピークシーズンには満車になります

忍耐力と寛容さをもってその時 “ウェイクアップタイム” を待つ

先の写真中のマーキングあたりからデリケートアーチを狙うと、開口部から向こう側のラ・サール山脈を見通すことができるのがポイント。(下の写真)

夕陽に照らされるデリケートアーチのズームアップと開口部の奥に望む冠雪のラサール山脈
春は冠雪したラ・サール山脈を望むことができます 2016/5/4 19:20 撮影, 焦点135㎜(35㎜換算)

訪れる人の多くはどちらかと言うといわゆるスナップ写真を撮る記念撮影派か、写真はともかくハイキングと絶景を楽しむアクティビティ派。
入れ替わり立ち替わり下の写真のような記念撮影シーンが展開されます。

デリケートアーチの真下中心でポーズをとり記念撮影する3人の人たちの写真2カット
アーチ直下は終日こんな感じです(左 2008/8/13, 右 2016/5/4)

太陽が地平線に近付いてデリケートアーチが目覚めるウェイクアップタイムになると、アーチの下に入る人たちへ対してブーイングが起こることも。

アーチの自然な姿を捉えようとする本格的撮影派にとっては耐え忍ぶ瞬間ですが、誰もがこの驚愕の絶景を見ようと全米はもとより世界中からやって来た人たち。
お互い寛容に構えるのが理想的です。

三脚をセットしたらあとはひたすらその時を待ちます。
なお後ろでもカメラを構える人がいるので三脚の高さ調節に配慮が必要です。

デリケートアーチの夕景撮影をするために三脚にカメラを固定してベストタイムを待つフォトグラファたち
夕方には三脚の放列が、後列で構えるフォトグラファへの配慮も忘れずに

レンズは広角から標準までお好み次第

以下の写真は上から順に、
写真➊は35㎜換算で 63㎜(2016/5/4 19:43撮影)
写真❷は同 27㎜(2016/5/4 19:41)
写真❸は同 18㎜(2016/5/4 19:57)
撮影当日の日没時刻は20:13、また撮影位置はいずれも先の写真のマーキング場所から。

夕方の夕陽に照らされ赤みを増してくるデリケートアーチの全景と背後に遠望する冠雪のラサール山脈
写真➊ 焦点63㎜(35㎜換算) 2016/5/4 19:43 撮影
夕方の夕陽に照らされ赤みを増してくるデリケートアーチと見物の人々と背後に遠望する冠雪のラサール山脈
写真❷ 焦点27㎜(35㎜換算) 2016/5/4 19:41 撮影
日没直前の夕陽に赤く照らされたデリケートアーチとすでに日が陰った根元の岩棚
写真❸ 焦点18㎜(35㎜換算) 2016/5/4 19:57撮影

暗黙のアーチ周辺立ち入り禁止タイム~クライマックスへ

西の空が完璧な快晴なら、日没50~60分前頃から次第にアーチが真っ赤に輝き始めます
ただし少しでもモヤモヤしたhazyな空模様だと輝き具合はいま一つに。
アーチの輝き具合は立ち会った時の運次第。

その時間になると自然とアーチ直下での記念撮影もなくなり、みんな真っ赤なスーパースターに釘付けに。
太陽が沈む位置によっては日没時刻前からアーチ自体に、手前にある岩の影がかかる時期があります。(下の写真は2008/8/13 19:57撮影=日没の19分前)
そして日没時刻に達すると一気に赤みが失われて終ります。

真夏8月13日の日没19分前の夕陽に赤く照らされるデリケートアーチと背後の山々
右背後にある岩の影がアーチにかかってきます(2008/8/13 19:57撮影=日没時刻は20:16)

《最後に》ベストシャッターチャンスを得るには

★必ず必要なことは ―
✔ 日没時刻の最低1.5時間前にはデリケートアーチへ到着する
✔ 無用な体調トラブルを避けるため、特に夏シーズンの暑さ対策(水2リットル以上,紫外線除け)と、食料の用意は怠らない
✔ 旅の安全のためにも休息は重要なので、宿泊先(モーテル, キャンプサイトなど)は事前予約を
 (最寄り町モアブのモーテルやロッジなど、ピークシーズンは3~4ヶ月前の予約でも早すぎることはない)

★可能であれば ―
✔ なんとしてもベストショットを狙うなら最低2日間のフレキシブルなスケジュール余裕があるといい
✔ 相応の時間と体力を要しますが、午前中に下見を兼ねて一往復しておくとより確実

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